シルクスクリーン印刷

シルクスクリーン印刷なのにグラデーションをかけるという非常に難しくプロの職人さんでも思ったイメージのものを仕上げるには数十枚にも及ぶ試し刷りが必要になる方法をあえて採用しています。

これは原画に忠実でより鮮明な仕上がりを求めた結果導き出された苦肉の策。ただその印刷の性質上同じものを2度生み出すことが出来ません。1枚1枚が原画の段階から非常に時間と手間のかかった作品です。

グラデーションのニュアンス、微妙な線の強弱、かすかな色の逃げなどぜひ手に取ってそのディテールをお楽しみください。


カラーコーデネーターと原画を元に色を決定する
アルファロメオの赤を表現するのは難しい・・


色合わせ/事前に検討・決定した色をその日の温度・湿度を考慮して調合する。


位置決め/固定した原画にスクリーン版を慎重に合わせる。


色位置/調合したインクをグラデーションをかける位置に流す。
このときスキージーの動き、仕上がりをイメージして量・位置は微妙に調整される。


印刷/スキージーの角度・スピード、力の入れ加減で線の強弱、グラデーションのかかり具合が違ってくる。


印刷/スキージーを巧みに操り絶妙なグラデーション。


チェック/線の具合、色の乗り発色、グラデーションのかかり、汚れなどを入念に確認。
問題があればもう一度始めから全てやり直し。


乾燥/入念なチェックが終わった作品はゆっくり時間をかけて乾燥。


刷り上り/ほっと一息。


完成/繊細な線、絶妙なグラデーション、スクリーン印刷ならではの色の深さ・奥行


経過/時間が経つにつれて色がより深く鮮明になってくる。

印刷風景あれこれ

担当者から一言

高森 靖 (シルクスクリーン印刷担当)

原画に忠実。まずこれが第一です。
私の力の入れ方次第で線に強弱が出てしまいますから責任重大です。
大体1枚仕上げるのに30枚、試し刷りを入れると50枚以上刷ります。
グラデーションをかけることが多いのですが、本来スクリーン印刷ではやらない技法なのでコツもいりますし難しいです。1枚1枚手で刷りますから手間も時間も掛かりますし同じ物は出来ません、それだけに1枚に集中していい物を作りたいと思います。
インクは発色の良い物を使っていますが、神経質なのでその日の温度・湿度に合わせて濃さや調合を調整しています。

高森 靖

野沢 紘子 (アートディレクター)

色ではいつも悩みますね。
松岡さんのイラストは線が命ですから色の重要性は痛感しています。
同じ赤い車でも光の当たっている明るい面を生かすのか、影の部分を形にするのかでぜんぜん色は違ってきますから。
色のことで松岡さんとぶつかることもあります。基本的に原画に忠実ですがスクリーン印刷が前提ですから紙との兼ね合いで明度や彩度が変わります。出来上がったイメージを頭に置いて進めないといけないので難しいですね。
それだけに、紙・色・刷り三つがうまく噛み合ったときはたまらないです。

野沢 紘子